秋に、紫色の小さな実を枝いっぱいにつけるコムラサキ(小紫、Callicarpa dichotoma)。庭で「ムラサキシキブ」として植えられているものの多くは、実はこのコムラサキです。この記事では、コムラサキとムラサキシキブの違い・見分け方と、植えつけ・剪定・さし木などの育て方を、実際に撮影した写真と表で解説します。
この記事の結論(3行まとめ)
① コムラサキはシソ科ムラサキシキブ属の落葉低木。樹高1.2〜2mとムラサキシキブより小型で、実が固まってつく
② 見分け方の目安は「実のつき方」と「花序(実)の出る位置」。コムラサキは葉のつけ根から少し離れた所に実が固まる
③ 日当たりのよい場所で、夏の水切れに注意。剪定は冬に伸びすぎた枝を切る程度。さし木は3月と5〜9月
コムラサキとは?特徴と基本データ


コムラサキは、シソ科ムラサキシキブ属の落葉低木です。以前はクマツヅラ科に分類されていましたが、現在はシソ科に移されています。本州から沖縄、朝鮮半島、台湾、中国に分布し、自生地では日当たりのよい池のほとりや湿地の近くなどに生えます。
初夏に淡い紫色の小さな花を咲かせ、秋に直径数ミリの紫色の実が熟します。実は葉が落ちたあとも枝に残ります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 学名 | Callicarpa dichotoma |
| 分類 | シソ科ムラサキシキブ属(旧クマツヅラ科) |
| 別名 | コシキブ |
| 樹高 | 1.2〜2m |
| 分布 | 本州〜沖縄、朝鮮半島、台湾、中国 |
| 花 | 6〜7月ごろ。淡い紫色の小花 |
| 実 | 秋。紫色の実が固まってつく |
| 耐寒性・耐暑性 | ともに強い(落葉性) |
| 増やし方 | さし木、株分け、タネまき、とり木 |
コムラサキとムラサキシキブの違い【比較表】
コムラサキとムラサキシキブは同じムラサキシキブ属で、花の時期も重なるため、花だけでは見分けにくい植物です。違いが出やすいのは、株の大きさと実のつき方です。
| コムラサキ | ムラサキシキブ | |
|---|---|---|
| 学名 | Callicarpa dichotoma | Callicarpa japonica |
| 樹高 | 1.2〜2m。ムラサキシキブより小型 | コムラサキより大きく育つ |
| 実のつき方 | 固まってつき、枝に紫の房が並ぶ | コムラサキほど密集しない |
| 花序(実)の位置 | 葉のつけ根から少し離れた所から出る | 葉のつけ根(葉腋)から出る |
| 庭での扱い | 庭木として広く植えられる | 庭の「ムラサキシキブ」の多くは実はコムラサキ |
写真で見る見分け方


実のついた枝を横から見て、実の房が葉のつけ根から少し離れた位置にまとまっていればコムラサキの可能性が高いです。実がまばらで、葉のつけ根にぴったりついている場合はムラサキシキブを疑いましょう。
コムラサキの年間管理カレンダー
| 時期 | 状態 | 主な作業 |
|---|---|---|
| 12〜2月 | 落葉・休眠 | 剪定(伸びすぎた枝を切り詰める)、寒肥、植えつけ・植え替え |
| 3〜4月 | 芽吹き | 植えつけ、春ざし(3月)、株分け(3月下旬〜4月) |
| 5〜6月 | 生育 | 夏ざし(5〜9月)。梅雨どきのうどんこ病に注意 |
| 6〜7月 | 開花 | 花後に油かすなどを少量 |
| 7〜8月 | 生育 | 水切れに注意 |
| 9〜11月 | 実が色づく | 実の観賞 |
コムラサキの育て方
植える場所・日当たり
半日陰にも耐えますが、花と実をたくさんつけるには日当たりのよい場所が向いています。強い西日が当たる場所は避けましょう。日照不足や風通しの悪さはうどんこ病の原因になります。
用土
腐植質が多く、通気性と保湿性に優れた土が適しています。鉢植えは、黒土に腐葉土などを混ぜた用土を使います。庭植えは、植え穴に腐葉土や堆肥を混ぜてから植えつけます。
用土づくりで使うもの
▶ 腐葉土:鉢植えの用土に混ぜたり、庭植えの植え穴に混ぜたりして、腐植質の多い土にします
→ 腐葉土をAmazonで見る
水はけを調整したいときに混ぜられる、赤玉土小粒の例です。
水やり
| 植え方 | 水やり |
|---|---|
| 庭植え | 根づいたあとは基本的に不要。夏に日照りが続くときは水を与える |
| 鉢植え | 用土の表面が乾いたらたっぷり。特に夏は水切れに注意 |
夏の水切れは、花や実がつかない原因になります。鉢植えは夏の乾き具合をこまめに確認しましょう。
肥料
冬に寒肥を施し、開花後に油かすなどを少量与えます。
肥料で使うもの
▶ 醗酵固型油かす:冬の寒肥や開花後の追肥に使える、固形の有機質肥料
→ 醗酵固型油かすをAmazonで見る
肥料とは別に使う植物活力剤の例です。寒肥・追肥の代わりにはなりません。
植えつけ・植え替え
植えつけは落葉期に行います。鉢植えは根が回りやすいので、2〜3年に1回、冬の落葉期に植え替えます。
剪定
特別な剪定は必要ありません。冬の落葉期に、伸びすぎた枝を切り詰めて樹形を整えます。込み合った枝や枯れ枝を間引くと、風通しと日当たりがよくなり、うどんこ病の予防にもなります。
剪定で使うもの
▶ 剪定ばさみ:冬の落葉期に、伸びすぎた枝や込み合った枝を切るときに
→ 剪定ばさみをAmazonで見る
植え替えや土入れに使える、小型の園芸道具セットです。
コムラサキの増やし方
| 方法 | 時期 | ポイント |
|---|---|---|
| 春ざし | 3月 | 前年に伸びた枝のうち、太く充実した枝を使う |
| 夏ざし | 5〜9月 | その年に伸びた枝のうち、充実した枝を使う |
| 株分け | 3月下旬〜4月 | 株元から出た枝を根ごと分ける |
- STEP1枝を選ぶ
春ざしは前年枝、夏ざしは当年枝から、充実した枝を選んで切ります。
- STEP2下葉を取る
土にさす部分の葉を取り除きます。
- STEP3用土にさす
赤玉土や鹿沼土(ピートモスを混ぜてもよい)のさし床にさします。
- STEP4乾かさずに管理
明るい日陰で、用土を乾かさないように管理します。根が出たら鉢や庭に植えつけます。
病害虫と対策
| 症状 | 主な原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 葉に白い粉をふいたような斑点 | うどんこ病(日照不足・風通しの悪さ。梅雨どきに出やすい) | 冬の剪定で枝を間引き、風通しと日当たりを確保。発病した葉は取り除く |
| 新芽に小さな虫が群がる | アブラムシ | 見つけしだい取り除く、または薬剤で防除 |
| 花や実がつかない | 日照不足、夏の水切れ | 日当たりのよい場所へ。夏の水やりを見直す |
害虫の被害はほとんどありませんが、アブラムシなどの予防には株元にまく粒剤も使えます。使用量と対象の植物は、ラベルの表示を確認しましょう。
株元にまく粒剤の例です。対象の害虫と植物は、ラベルの表示で確認しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 庭のムラサキシキブは本当にムラサキシキブ?
A. 庭に植えられている「ムラサキシキブ」の多くはコムラサキです。実が固まってついていて、樹高が2mほどまでならコムラサキの可能性が高いでしょう。
Q. コムラサキの実がつきません。
A. 日照不足か、夏の水切れが考えられます。日当たりのよい場所に植え、鉢植えは夏に水を切らさないようにしましょう。
Q. コムラサキの剪定はいつ?
A. 冬の落葉期に、伸びすぎた枝を切り詰める程度で十分です。込み合った枝は間引いて風通しをよくします。
まとめ
- コムラサキはシソ科ムラサキシキブ属の落葉低木(旧クマツヅラ科)。樹高1.2〜2m
- ムラサキシキブより小型で、実が固まってつく。実の房は葉のつけ根から少し離れた所に出る
- 庭の「ムラサキシキブ」の多くはコムラサキ
- 日当たりのよい場所で、夏の水切れに注意。肥料は冬の寒肥と花後
- 剪定は冬に伸びすぎた枝を切る程度。さし木は3月と5〜9月


コメント