葉も茎も白く長い毛にびっしり覆われ、雪をまとったように見える福兎耳(Kalanchoe eriophylla)。多肉植物のなかでも特に毛深い、カランコエの仲間です。この記事では、福兎耳の特徴、月兎耳との違い、季節ごとの置き場所と水やり、冬越しの温度、さし芽・葉ざしでの増やし方を、実際に育てている株の写真と表で解説します。
この記事の結論(3行まとめ)
① 福兎耳はマダガスカル中部原産のカランコエ。高さ3〜10cmの小型で、葉も茎も白く長い毛に覆われる
② 夏型。春〜秋は日当たりと風通しのよい場所で、用土が乾いたらたっぷり水やり。冬は断水気味に
③ 寒さに弱いので、最低気温10℃を下回る前に室内の明るい場所へ。さし芽・葉ざしで増やせる
福兎耳とは?




福兎耳は、ベンケイソウ科カランコエ属の多肉植物です。マダガスカル中部の原産で、アンカラトラ山地などの岩場に自生します。高さ3〜10cmほどの小型種で、細い茎が株元から枝分かれしてマット状に広がります。地面をはう茎は30cmほどまで伸び、節から根を出します。
いちばんの特徴は、葉と茎をびっしり覆う白く長い星状の毛です。葉は厚みがあって先が丸く、長さ2.5cm未満と小さめ。毛のせいで全体が銀白色に見え、冬の日差しを受けると深い赤に色づくこともあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 学名 | Kalanchoe eriophylla |
| 流通名 | 福兎耳(ふくとじ) |
| 分類 | ベンケイソウ科カランコエ属 |
| 原産地 | マダガスカル中部(岩場) |
| 大きさ | 高さ3〜10cm。はう茎は30cmほどまで伸びる |
| 葉 | 長さ2.5cm未満。白く長い星状の毛に覆われる |
| 花 | 早春。ピンク〜赤紫の4弁花が少数つく |
| 生育型 | 夏型 |
| 冬越しの目安 | 最低気温10℃を下回る前に室内へ。霜に当てない |
| 増やし方 | さし芽、葉ざし、株分け |
福兎耳の花




福兎耳は早春に花茎を伸ばし、先に小さな花を少しだけ咲かせます。花は4弁で、ピンク〜赤紫色、中心が黄色です。花茎は30cmほどまで伸びます。たくさん咲くタイプではないので、花が咲いたらよく観察してみましょう。
福兎耳と月兎耳の違い




「兎耳」と名のつくカランコエには、月兎耳(Kalanchoe tomentosa)とその品種がいくつかあります。どれも毛のある葉をもちますが、福兎耳とは別の種類です。
| 福兎耳 | 月兎耳 | |
|---|---|---|
| 学名 | Kalanchoe eriophylla | Kalanchoe tomentosa |
| 葉 | 長さ2.5cm未満の小さな葉。白く長い毛で全体が銀白色 | ウサギの耳のような細長い葉。毛があり、ふちが黒褐色 |



兎耳の仲間は葉の形や毛の色がそれぞれ違うので、何種類か並べて育てると違いがよくわかります。
福兎耳の年間管理
| 時期 | 置き場所 | 水やり | 作業 |
|---|---|---|---|
| 春(4〜6月) | 日当たりと風通しのよい戸外 | 新芽が動いたら徐々に再開し、用土の表面が乾いたらたっぷり | さし芽・葉ざし・植え替え。花が咲く |
| 夏(7〜9月) | 日当たりと風通しのよい戸外。真昼の強い日差しは避ける | 用土の表面が乾いたらたっぷり | 生育期。少量の施肥。さし芽・葉ざし |
| 秋(10〜11月) | 日当たりのよい場所。最低気温10℃が近づいたら室内へ | 10月ごろから断水気味に | 室内への取り込み |
| 冬(12〜3月) | 室内の明るい場所 | 断水気味。葉がしわしわになるなら少量 | 霜・寒さに当てない |
福兎耳の育て方
日当たり・置き場所




福兎耳は日当たりを好みます。春から秋は、日当たりと風通しのよい戸外で育てましょう。室内では明るい窓辺に置き、真昼の強い直射日光は避けます。日照が足りないと茎がひょろひょろと伸びるので、できるだけ明るい場所で管理します。
水やり
| 時期 | 水やり |
|---|---|
| 生育期(春〜秋) | 用土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷり |
| 休眠期(10〜3月ごろ) | 断水気味に乾かす。葉がしわしわになるようなら少量を与える |
寒い時期に湿った状態が続くと、根から腐りやすくなります。冬は特に、水の与えすぎに注意しましょう。
冬越し




福兎耳は寒さに弱い植物です。最低気温が10℃を下回る前に、室内の明るい場所に取り込みましょう。霜に当てると傷みます。冬は日当たりのよい窓辺に置くと、葉が赤みを帯びて色づくことがあります。
用土・肥料・植え替え




| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 用土 | 水はけのよい用土。例:鹿沼土小粒・赤玉土小粒・ピートモス・川砂・くん炭を各2 |
| 肥料 | 生育期に、緩効性化成肥料か液体肥料を少量 |
| 植え替え | 2〜3年に1回。生育期の直前か初期に |
用土を自分で配合する手間を省くなら、市販の多肉植物用の土を使うと手軽です。
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福兎耳の増やし方
| 方法 | 適期 | ポイント |
|---|---|---|
| さし芽 | 4〜9月 | 伸びた茎を切り、切り口を乾かしてからさす。3〜4本まとめてさすとボリュームが出る |
| 葉ざし | 4〜9月 | 葉のつけ根を必ずつけて外す。約4週間で小さな芽が出る |
| 株分け | 4〜9月 | 植え替えのときに分ける |
- STEP1茎を切る
4〜9月に、伸びた茎を数cmの長さで切ります。
- STEP2切り口を乾かす
下の葉を少し外し、切り口を数日乾かします。
- STEP3土にさす
乾いた用土にさします。3〜4本まとめてさすと、こんもりした株になります。
- STEP4根が出てから水やり
根が出てきたら水やりを始めます。
福兎耳は、発根や生育に少し時間がかかります。あせらずに見守りましょう。
トラブルと対策
| 症状 | 主な原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 茎がひょろひょろ伸びる | 日照不足 | 明るい場所へ移す。伸びた茎は切ってさし芽に |
| 株元や根が腐る | 寒い時期の過湿 | 冬は断水気味にし、10℃を下回る前に室内へ |
| 葉の間に白い綿のような虫 | コナカイガラムシ | 毛に隠れて見つけにくいので定期的に観察し、見つけしだい取り除く |
| 新芽に小さな虫 | アブラムシ | 見つけしだい防除 |
| 根に白い粉のような虫 | ネジラミ | 植え替え時に根を洗い、古い土を落とす |
カイガラムシやアブラムシの予防には、株元にまく浸透移行性の粒剤が便利です。使用量と対象の植物は、ラベルの表示を確認しましょう。
・オルトランDX粒剤(Amazon)
カランコエ属は、犬や猫に有毒な植物とされています。ペットが葉をかじらない場所に置きましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 福兎耳の冬越しは何℃まで大丈夫?
A. 最低気温10℃が目安です。それを下回る前に室内の明るい場所に取り込み、水やりを控えて乾かし気味に管理しましょう。
Q. 福兎耳と月兎耳は同じ植物?
A. 別の種類です。福兎耳は Kalanchoe eriophylla、月兎耳は Kalanchoe tomentosa です。福兎耳は葉が小さく、全体が白く長い毛に覆われます。
Q. 福兎耳の葉ざしは成功しますか?
A. 4〜9月に、葉のつけ根をつけて外した葉を乾いた用土にのせると、約4週間で小さな芽が出ます。発根や生育には少し時間がかかります。
まとめ
- 福兎耳はマダガスカル中部原産のカランコエ。白く長い毛に覆われた小型種
- 早春にピンク〜赤紫の小さな花が咲く
- 夏型。春〜秋は日当たりと風通しのよい場所で、乾いたらたっぷり水やり
- 寒さに弱い。最低気温10℃を下回る前に室内へ。冬は断水気味に
- さし芽・葉ざしは4〜9月。発根には少し時間がかかる
- コナカイガラムシは毛に隠れやすいので定期的に観察
同じカランコエの仲間では、胡蝶の舞の育て方もあわせてご覧ください。


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